孫の手と題して

正月に娘が孫を連れてやって来て、2週間ほど滞在して帰って行きました。
思い返してみると、娘が小4の時から単身赴任だったので、こんなに長期間同じ屋根の下で暮らすのはそれ以来のことです。
そんな娘が1年間産休をとれるらしくて(今時なんていい会社なのだろう!)、しかも孫まで連れてやって来たのです。
いつまでも子供だと思っていたのが随分と成長していて、社内の人間関係やPCの扱いなど、私等の頃よりで遥かに進んでいるのが分りました。


孫は女の子で生後六ヵ月、話しかけると笑い返してくる。余程要求が無い限り泣かず、概ね機嫌が良くあまり手が掛からないようです。
手足をバタつかせ、脚力や握力が思った以上に強いので、将来は女子のサッカー選手かボクサーかとか、大人たちは盛んに体育会系の将来像を夢み談笑しています。


何て言えばいいのか、可愛いと言えば可愛いのですが、ストレートにそう思えない部分も正直言ってあって、男性陣の心境は複雑なようです。
正月近所の方がお孫さんを連れ挨拶にいらっしゃった時のこと。2~3歳と思しき女の子が髪の毛は天然カールでまつ毛が長く‟思い出のマーニー“ぐらいにとても可愛いのです。その御爺ちゃんが私に「孫ができて本当に嬉しい?」と聞いてきました。そこで「嬉しいには違いないけど、何だか自分が主人公でなくなるような寂しさも有るなあ」なんて話になりました。(後日別のおばちゃんから「今まで主人公だったの?」と大阪流の突っ込みされて笑ったけど)。
自分の体内を分け産み育てる女性と、天涯一匹狼的男性は、かよほどに違いがあるのかもしれないと思いました。


昔スピルバーグの『未知との遭遇』という異星人との出会いを感動的に描いた映画があった。少なくとも男組の私と猫のマメ親分にとって孫との対面は、‟未知との遭遇“であったようです。
指を差し出すと孫は加減せず強く握り返してくる。それが嬉しくもあり、興味津々で更に近づこうとするけれど、実際どう対処して良いのかわからなくて、その辺でオロオロしているのです。


マメが初めて孫と“遭遇”した瞬間は、他のネコ共々脱兎のごとく逃げ出し、柱の影やテーブルの下から目を光らせ孫の様子を伺っていました。
数日経つにつれ、な~んだハイハイも出来ない赤ちゃんかいと分かってきたようで、1mぐらい近くまでは知らん顔して近寄るようになりました。
そして、赤ちゃん猫などがやって来ると、背を向けて尻尾をパタンパタンして「大丈夫だからここまでおいで」と招いてやる。それがいつものマメ親分の流儀です。


ただこの赤ちゃんはいつもと勝手が違っていた。手足をブンブン振り回すし加減と言うのをわきまえていない。元気だけれどもかなりのならず者である。危なっかしくてうっかり近づけないでいる。
それでマメを抱っこして、「大丈夫」と強制的に孫に触らせてみました。孫は「キャーキャー」声をあげ喜び、マメの手やしっぽをつかんだりするから、その都度マメはパニックって逃げ出す。何度かそんなことを体験させました。
でもマメ親分は大したものです。それでも決して爪を立てるようなことはないし、孫を敵とは見なしていないのです。


そんなこんなで男組の私とマメは徐々に孫に懐いていったのでした。
やがて2週間が経ち、孫たちが都会に帰って行く朝のことです。
マメは帰るのを知っていたかのようで、その夜は何故か孫のいる部屋でマメも寝ていました。
そして娘と孫が朝機嫌よく目覚めまだ布団の中で寛いでいると、マメが近づいて来て孫の手にチュッと口づけしそのまま立ち去って行ったそうです。初めてマメ自ら孫の手に触れ、『じゃあな、達者で暮らせよ』と無言で挨拶していったようです。
目前で見届けていた娘は目からウロコで、「マメちゃんかっこ良すぎー」とウルウル報告してくれました。


さすがマメ親分である。
そしてP子が車で都会に送って行って誰もいなくなった翌日の朝のこと、何故かマメが私の布団に久しぶりに添い寝しにやって来ました。それはただ寒い朝だったからだけではないように私は感じました。
男は‟寂しい“なんてみっともないことは言えない。男同士背中をくっ付け温め合いながら、マゴの手の感触でも思い返し、欠けた空洞を埋め合わすしかないではないか。




樹齢千年の楠木に子授け祈願したら生まれたので、木霊にお礼の挨拶に行く。
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ポンカン採集を手伝うと、娘が孫を抱っこしながらやって来る。
上から投げて受け取ってもらったが、手元がくるって孫の頭にポンカ~ン。「わりぃ わりぃ!」。ひとしきり泣いて畑で眠ってしまった。孫にとって初めての‟事故“でこれも未知との遭遇でした。
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スピルバーグのETと言うのもありました。
ETの指先が子供に触れる感動的なシーン。孫とマメとではどちらがETなのかな?
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「背中で男を語ってるー」
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by turnipman | 2017-01-25 20:56 | 南島にて | Trackback | Comments(0)

南海の波打ち際で         記録写真


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