『拝啓関西電力様』

福井地裁で大飯原発34号機再稼働差し止めの判決が出された背景には、それまでの福井県内外の住民による長い反原発運動があったようです。

原発銀座と言われる若狭湾でも、小浜市など原発を拒み続けてきた歴史があります。


その小浜市の明通寺住職で訴訟原告団代表の中嶌哲演さんは、昨年4月原告側の意見陳述で、福島県南相馬市から滋賀県の大津市に避難している青田恵子さんの詩を、大きな声で読み上げたそうです。

赤旗の6/8付け中嶌哲演さんへのインタビュー記事で知りました。元記事が公開されてないので、他を探したら昨年9/24東京新聞にありました。こちらも良い記事でしたので紹介します。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/kenpouto/list/CK2013092402000125.html



この詩を読んだとき私は、この流暢な?日常口語体の福島弁に郷愁さえ感じました。この詩は紛れもないフクシマ語です。

そして同時に、石牟礼道子『苦海浄土』への渡辺京二の解説を思い出しました。

「・・・彼女は患者とその家族たちに自分の同族を発見したのである。なぜなら、水俣病患者とその家族たちは、たんに病苦や経済的没落だけではなく、人と人のつながりを切り落とされることの苦痛によって苦しんだ人びとであったからである・・・。」





拝啓関西電力様』

         青田 恵子



エアコン止めで、耳の穴かっぽじって

よーぐ聞け。

福島には、「までい」っつう言葉があんだ。

までいっつうのは、ていねいで大事にする

大切にするっちゅう意昧があんだ。

そりゃあ、おらどこ東北のくらしは厳しかった。

米もあんまし穫んにぇがったし、

べこを飼い

おかいこ様を飼い

炭を焼き

自然のめぐみで、までいにまでいに今まで

暮らしてきた。

原発は いちどに何もかもを

奪っちまった。


原発さえなかったらと

壁さ チョークで遺書を残―して

べこ飼いは首を吊って死んだ。

一時帰宅者は、

水仙の花咲く自宅の庭で

自分さ火つけて死んだ。

放射能でひとりも死んでないだと……

この うそこきやろう 人殺し

原発は 田んぼも畑も海も

人の住む所も

ぜーんぶ(全部)かっぱらったんだ。

この 盗っ人 ドロボー

原発を止めれば

電気料金を二倍にするだと………

この 欲たかりの欲深ども

ヒットラーは毒ガスで人を殺した

原発は放射能で人を殺す

おめえらのやっていることは

ヒットラーと なんもかわんねぇ。

ヒットラーは自殺した


おめえらは誰ひとり

責任とって 詫びて死んだ者はない

んだけんちょもな、おめえらのような

人間につける薬がひとつだけあんだ。

福島には人が住まんにゃくなった家が

なんぼでもたんとある

そこをタダで貸してやっからよ

オッカアと子と孫つれて

住んでみだらよがっぺ

放射能をたっぷり浴びた牛は

そこらじゅう ウロウロいるし

セシウムで太った魚は

腹くっちくなるほど 太平洋さいる

いんのめぇには、梨もりんごも柿も取り放題だ。

ごんのさらえば

飯も炊けるし、風呂も沸く

マスクなんと うっつぁしくて かからしくて

するもんでねえ

そうして一年もしたら

少しは薬が効いてくっかもしんにぇな


ほしたら フクシマの子供らとおんなじく

鼻血が どどうっと出て

のどさ グリグリできっかもしんにぇな

ほうれ 言った通りだべよ

おめえらの言った 安全で安心な所だ。

 さあ、急げ!

荷物まどめて、フクシマさ引っ越しだ

これが おめえらさつける

たったひとつの薬かもしんにぇな。



【註】相馬弁の解説

①んだげんちょも…だけれども

②腹くっちく…腹いっぱい

③いんのめえ…家の前

④ごんの…焚き物にする小枝や落ち葉

⑤うっつぁし…うっとうしい

⑥かからし…わずらわし





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by turnipman | 2014-06-11 16:16 | 2011.3.11 時代 | Trackback | Comments(0)

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